風薫る五月というけれど本当にこの頃はいい匂いがする。まずはジャスミンの香りが漂い始めた。このジャスミンは少し強烈な匂いを発する、正確な名前は知らない。東南アジアで見かけるジャスミンとは匂いが全く異なる。同じ頃に香り始める別の花のジャスミンがあるがこちらはもう少しさわやかな匂いがして南の国のジャスミンの匂いに近い。
そうしたところ隣のおうちの庭からいい匂いが漂い始め朝に夜にと我が家の中にまで薫りを振りまいてくれている。お隣にジャスミンはなかったはずなのに、何だなんだと気になっていてお隣さんが教えてくれたのは、なんと夏みかんの花だった。今年はたくさんの花が咲いたそうだ。こちらもジャスミンに近くさらに清々とした芳香を発している。
私の通り道にまたしても芳香を放つ花が現れ、一つの木に紫と白、その二つが混じった色と三通りの花をつけている。この花が芳香を放つので調べると、ニオイバンマツリというブラジル、アルゼンチン原産の低木で、開花してしばらくすると花の色が紫から白に変わると書いてあった。
気になる花ということではもう一つ、ミルテの花がある。シューマンの歌曲集の名前でもある。このことを教えてくれたのは私が苦労した事件の控訴審裁判官が退官後に書いた旅行記の中であった。ミルテの花という言葉自体に惹きつけられたしどんな花かと思った。古代ギリシアでは女神アプロディーテーに捧げる花とされ、古代ローマでも女神ウェヌスに捧げられ、結婚式に用いられたという。葉は揉むとユーカリに似た強い芳香を放つという。
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